去年きょねん5月つき、愛媛えひめ県けん新居浜にいはま市しの「新居にい浜はま上部じょうぶのぞみ保育ほいく園えん」で、生後せいご8か月かげつの男の子おとこのこが給食きゅうしょくで出だされた、小ちいさくカットしたりんごをのどに詰つまらせる事故じこがあり、男の子おとこのこは今いまも意識いしき不明ふめいの状態じょうたいが続つづいています。

この事故じこで、医師いしや弁護士べんごしでつくる市しの検証けんしょう委員いいん会かいが原因げんいんや再発さいはつ防止ぼうし策さくの報告ほうこく書しょをまとめ、25日にちに市しに提出ていしゅつしました。

報告ほうこく書しょによりますと、保育ほいく士しが2かけらのりんごをスプーンで提供ていきょうしたあと、男の子おとこのこが泣ないて息いきを吸すった瞬間しゅんかんに、りんごが気道きどうを閉塞へいそくして窒息ちっそくにつながった可能かのう性せいが高たかいとしています。

この保育ほいく園えんでは、りんごを離乳りにゅう食しょくとする場合ばあい、加熱かねつして提供ていきょうするとした国くにのガイドラインが浸透しんとうしておらず、令りょう和わ4年度ねんどにりんごを提供ていきょうした42回かいのうち、加熱かねつしたのは2回かいだけだったということです。

また、事故じこ前日ぜんじつに実施じっしした保育ほいく士しによる家庭かてい訪問ほうもんで、男の子おとこのこの保護ほご者しゃが離乳りにゅう食しょくについて「家いえではドロドロを食たべている」と伝つたえたとしていますが、こうした情報じょうほうは調理ちょうり現場げんばには伝つたえられていなかったということです。

さらに、園長えんちょうや主任しゅにん保育ほいく士しも離乳食りにゅうしょくの調理ちょうり方法ほうほうを把握はあくしておらず、園長えんちょうは離乳食りにゅうしょくに異常いじょうがないかを確認かくにんする「検けん食しょく」も実施じっししていなかったということで、リスクへの認識にんしき不足ふそくがあったとしています。

報告ほうこく書しょでは、事故じこ直後ちょくごの対応たいおうの問題もんだい点てんとして、保育ほいく士しが119番ばん通報つうほうをした際さい、消防しょうぼうから指示しじされた心臓しんぞうマッサージが現場げんばの混乱こんらんや保育ほいく士しの動揺どうようで実施じっしされておらず、結果けっかとして、窒息ちっそく事故じこの対応たいおうが取とれていなかったとしています。

また、再発さいはつ防止ぼうし策さくとして

▽保護ほご者しゃと離乳食りにゅうしょくに関にかんする情報じょうほう連携れんけいを確実かくじつに行おこなうことや

▽救急きゅうきゅう救命きゅうめい講習こうしゅうを定期ていき的てきに行おこない、さまざまな事故じこを想定そうていしたシミュレーションの訓練くんれんを実施じっしすることなどを提言ていげんしています。

検証けんしょう委員いいん会かい “事故じこを風化ふうかさせず再発さいはつ防止ぼうし策さくを”

検証けんしょう委員いいん会かいの委員いいん長ちょうをつとめる松山まつやま東雲しののめ短期たんき大学だいがくの岡田おかだ恵めぐみ准じゅん教授きょうじゅは、「同おなじような事故じこを繰り返くりかえしてはいけないという強つよい意志いしで議論ぎろんを重かさねました。市しや保育ほいく施設しせつには、事故じこを風化ふうかさせることなく再発さいはつ防止ぼうし策さくに取り組とりくんでほしい」と話はなしていました。

また、新居浜にいはま市しの石川いしかわ勝行かつゆき市長しちょうは「今回こんかいの検証けんしょう結果けっかを真摯しんし（しんし）に受け止うけとめ、保育ほいく施設しせつでの研修けんしゅうや消防しょうぼうなど関係かんけい機関きかんとの訓練くんれんなどを進すすめて、二度にどと同おなじような事故じこが起おきないように徹底てっていしていきたい」と述のべました。

保育園ほいくえん “あらゆる事故じこの防止ぼうし策さく徹底てっていを”

事故じこが起おきた保育園ほいくえんを運営うんえいする社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじん「新居にい浜はま社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょう協会きょうかい」は、「重大じゅうだい事故じこを防止ぼうしできなかったことについておわび申し上もうしあげます。報告ほうこく書しょの内容ないようを精査せいさし、再発さいはつ防止ぼうし策さくを再度さいど、検証けんしょうしたうえで、あらゆる事故じこの防止ぼうし策さくの徹底てっていにつとめてまいります」とコメントしています。

男の子おとこのこの両親りょうしん “悔くやしい気持きもちが込み上こみあげてきた”

検証けんしょう委員いいん会かいの報告ほうこく書しょについて、男の子おとこのこの両親りょうしんはNHKの取材しゅざいに対にたいし、「心臓しんぞうマッサージをしていれば結果けっかが違ちがっていたのではないかとか、なんとかならなかったのかと、悔くやしい気持きもちが込み上こみあげてきました。園えんの組織そしき全体ぜんたいの問題もんだいで、起おこるべくして起おきた事故じこだと感かんじました。こうした事故じこを起おこさないよう、行政ぎょうせいや保育ほいく施設しせつの人ひとには、自分じぶんごととして対策たいさくを考かんがえてほしいです」と話はなしていました。